ブローバック・マウンテン観た結果 | ぶつくさ
ブローバック・マウンテン観た結果

ブローバック・マウンテン観た結果

序盤:だらけた座り方(にやにや)
中盤:体操座り
最後まで:正座
腐れ女子としては観ておかなくてはならないんでしょ?そうなんだしょ?にやにや?とか軽い気持ちで観て申し訳ございませんでした。横っ面ひっぱたいておきましたんで。

ヒース・レジャーはかっこいいですよね、ジョーカーの人ですよね、こんなに声低かったっけ?声変わり?と思ったけど私の中で比較対象がジョーカーしかいないので比べようがないです。ギレンホールさんは我らがゾディアックの人ですよね、何が我らがなのかは知らん。ゾディアックのマジメ〜なちょっと冴えないイメージが強いので、弾けるジェイクににやけジェイクです(なんもうまいこと言えなかった、黙っとけばよかった)。

イニスとジャックができちゃうまでの情熱的かつ迅速な流れにもうこれだから外人は!外人は!と思いました。
それは冗談にしたって二人は「俺はホモじゃない」「俺だって違うよー」って言い合うんだけど、でも二人とも、好きになったひとがたまたま同性だった、ってわけじゃなくて、ある程度そういう性質をもともと持ってたんだろうなと思いました。だからこそ(特にイニスの)人生に渡る苦悩があったんじゃないかって。

もう途中からはアルマ(イニスの奥さん)が可哀想で可哀想で、再会してきゃいきゃいはしゃぐ主人公二人にこの野郎どもが…といった感情すら正直沸きます。イニスはずっと罪悪感を抱えてるけど、それはゲイであることに対してで、アルマへの罪悪感はそこまで描かれない。どうして奥さんと娘たちに平気で行ってくるよなんて言えるのか、どうして奥さんも引きとめないの、今行かないでって言えばいいのにって。だってこれもしもジャックが女だったら問答無用で許されない…ってとこまで至って、ああすべては男同士だからなんだなって。
この作品の時代背景はまだまだそういう人々にすごく厳しいのが当たり前って時代で(よくわかんないけどその頃の信仰にも理由があるっぽい)、だからこそイニスの幼い頃の経験があり、イニスの現状へのひどい恐怖がある。今の時代だって旦那が男と浮気してて…なんてなかなか人に言えないけど、この時代ではなおさら無理だし、アルマは浮気をされているという苦痛だけじゃなく、自分の夫が世間から迫害されるタイプの人間だったという衝撃もうけなくてはならなかったのだと思う。それもひっくるめて全部自分の中にしまってとにかく家庭を守ることに徹してしまうアルマ、やはり母親というのはそういうものなのかな…。結局それもだめになって(やはりイニスのほうがだめにした感がある)離婚してしまうのだけど。

だいぶイニスを悪者のように書いてしまってるけど(実際、途中まではなんなのよこの男!サイテーよ!メソメソしてないでとっちめて別れちまいなさいよ!ムキー!くらい思っていたけど)、それって前半のイニスはものすごい好青年だったから余計になんですよね、朴訥としていて優しくて良きパパ良き夫で…たぶんこれが本来のイニスだと思うんですよね。
それなのににっちもさっちもいかない感じになってしまったのはひとえにジャックへの愛のためですよね。イニスはすごく普通の人なのだと思います。普通に生きて普通の幸せを掴める善良な人なのだと思います。けれどジャックを愛してしまってから、イニスにとってイニスは善良な人ではなくなってしまって、なんとか隠し通そうとして、でもジャックを愛していたくて、でも普通に生きることも守りたくて、でもそれは両立させることはできないことで、ぽろぽろぽろぽろ手に余って周りが不幸になって、何よりイニス自身がぼろぼろに摩耗していく。
「お前のせいでこんな人間になったんだ」「もう俺を楽にしてくれ」ってぼろぼろのイニスがさあ…!
ジャックの言うとおり二人で牧場をやってたら、メキシコに逃げてたら、二人は幸せになれたか?と思ってみても甚だ疑問です。イニスにとってそれは例えるなら神様を裏切るような選択で選べようがないし、どこへ逃げても神様は見ているものだからです。この「神様」とは自分自身の心、刷り込まれた価値観、アイデンティティのようなものの例えですね…!(キリッ…!!)

翌年のブローバック・マウンテンに来なかったイニス、メキシコへ行ってしまったジャック、離婚してからジェイクとの関係に言及するアルマ…この物語はタイミングを逃してしまった正しい選択をすることができなかった人々ばかりで、そういうどこにでもあり得る小さな悲劇の積み重ね、人生は一度きりというか。

ジャックの両親の様子や、ラリーンの反応から、きっとジャックはイニスの想像したとおりの死に方をしてしまったんだと思う。ジャックのお父さんの「わしはアイツを家族の墓に入れるよ」ってセリフがこの物語の大きな救いのシーンだと思います。ジャックはブローバック・マウンテンに撒いて欲しかっただろうけど。それからイニスを慕い続ける長女の存在も。


湿っぽくなっちまったけどやっぱり萌えっというかニヤっというシーンはあって!(ぶちこわし)
嫌味なお義父さんについにブチ切れるジャック、豚野郎だかなんだか叫んでるときに、ラリーンが抑えつつニヤッとするとこが良かった!ハサウェイちゃんは可愛いよな、すらっとしておメメくりっくりで…
山を降りるのにプチ鬱になってるイニスを投げ縄で捕まえるジャックも可愛かった!オジョウズ!
山を降りたイニスの慟哭もね、思えばここからはじまったのだ…
「立ったまま馬みたいに眠るのか〜」も良かった!「歌もうたってくれるんだ〜♪」って甘やかしてやがる…!
別れ話の場面で、メキシコの件で、イニスが「何があったのか知りもしないが知ったらお前を殺す!」って言うの、この場面のイニスはいろいろ剥き出しだけどこんな独占欲剥き出しのイニスはここだけじゃないか?って萌えました。

こう独占欲がその対象のみへ暴力性をともなって露出するのって、いかにも男臭いというか自分が裏切られるなんて考えたこともないような身勝手さに萌えるというか…誰とは言わないが…(…)

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